最近、ますますの盛り上がりを見せる日本酒業界。外で飲む機会が減りお金を使わなくなったぶん、普段は高くて手が出ないようなお酒にも挑戦しようという人が増えているからだそう。
その中でも注目を集めているのがにごりです。「にごり酒」とは言ってもにごっているお酒全てが「にごり酒」と呼ばれる訳ではありません。
他にも疑問をお持ちの方が多くいらっしゃると思います。本稿では「にごり酒」の定義や魅力について詳しく解説していきます。
「にごり酒」とは?
「にごり酒」とはその名の通り白くにごったお酒のことを言います。日本酒製造の際は発酵後の醪(もろみ)を布などで濾過して、米麹や酵母が結晶化した澱という成分を除きます。この濾過作業時にあえて目の粗い布で濾すことで澱を残し白濁するのです。澱を残すことで芳醇な香りと味わいをもった「にごり酒」を作ることができます。
では白くにごったお酒は全て「にごり酒」と呼べるのでしょうか。白くにごったお酒といえば「どぶろく」や「甘酒」を思い浮かべる方もいるかと思いますが、実はこれらのお酒は酒税法上「にごり酒」とは呼びません。
「どぶろく」は醪(もろみ)を濾過せずにそのまま飲むもので、「甘酒」はアルコールが入っていないという理由です。
酒税法上では日本酒を「米、米麹および水を原料として発酵させて、濾したもの」と定義しているため、これに当てはまらないものは日本酒である「にごり酒」に分類されないということになります。
「にごり酒」の種類
「にごり酒」といえば濃厚でトロトロしたタイプをイメージされると思いますが、実は甘口や辛口、スッキリしたものなど複数種類に分けられます。
本稿では以下の4つを紹介します。
おり酒
「おりがらみ」とも呼ばれるおり酒は澱を多く残し酸味が強いのが特徴です。トロッとした口当たりにお米の風味も感じることができます。エッジの効いた味わいなのでロックで飲むのがおすすめです。
ささにごり
ささ(細)にごりと言われている通り、澱が少なくスッキリとした味わいが特徴です。クセがないため「にごり酒」に挑戦したいと思っている、「にごり酒」ビギナーにおすすめです。
うすにごり
「ささにごり」よりもさらにあっさりとしており、口当たりが柔らかいのが特徴です。「にごり酒」のとろみや濃い味わいが苦手な人でものみやすいでしょう。
活性にごり
醪(もろみ)を濾過したあとに、あえて火入れをせずにそのまま瓶詰めされています。酵母がまだ生きた状態で瓶詰めされているため、シュワシュワとした爽快な口当たりを楽しめます。
おすすめの「にごり酒」
弥右衛門 純米にごり酒 -月あかり-(大和川酒造店・福島県)
米と米麹から生まれる自然な甘みと、ほどよい酸味が調和した優しいにごり酒です。
クセが無く癒される味わいは、年代問わず幅広いファンを虜にしています。
冷たく冷やして、食事の前にいただくのがおすすめです。
とろーりにごり原酒(蒲酒造場・岐阜県)
とろーり濃厚なにごり酒です。 甘みが強いのにサラッとした後味はクセになるおいしさ。
キンキンに冷やせばさらに口当たりがよくなり、にごり酒を飲み慣れていない方でも抵抗なく飲めます。
ロックやソーダ割もおすすめです。
「にごり酒」に合うおつまみ
チーズ
日本酒にチーズ?と思われるかもしれませんが、チーズのほのかな酸味が「にごり酒」の甘さにマッチします。チーズが濃厚な味わいですので、「活性にごり」のような爽快な口当たりの「にごり酒」をおすすめします。
からあげ
ビールなどのスッキリとした口当たりのお酒に合うとされるからあげですが、実は「にごり酒」にもマッチするのです。「にごり酒」の旨味や甘みをからあげの油で中和させると、また違った味わいを楽しむことができます。無炭酸のすっきりとした「ささにごり」や「うすにごり」がおすすめです。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございました。「にごり酒」の定義や、おすすめの銘柄について紹介させていただきました。
覚えていただきたいポイントは以下の通りです。
・目の粗い布で濾過することで「にごり酒」となる
・にごっていれば「にごり酒」というわけではない
・「にごり酒」は数種類に分けられる
ひとえに「にごり酒」と言っても、銘柄によって違いやこだわりがあることを分かっていただけたと思います。日本酒ブームを牽引する「にごり酒」は、これからさらに人気となっていくでしょう。本稿があなたの「にごり酒」を楽しむ上での一助となれば幸いです。