徳利とは?
徳利とは首の部分が細くなっていて下は膨らんでいる形をした酒器です。
日本酒をお猪口や盃に注ぐのに使用されます。
徳利は本来、「とくり」と呼ばれていたようで、次第になまって「とっくり」になったそうです。
徳利の語源は、日本酒を注ぐ時に「とくりとくり」と音がしたためという説や、
見た目以上に多く日本酒の入る酒器で飲むことで「利になる」、「徳になる」ため「徳利」になったという説などがあります。
徳利が使用され始めたのは室町時代の後半頃で、日本酒や醤油などを保管したり運ぶために使われていたそうです。
現在は、日本酒は瓶に詰めて販売されていますが、酒屋では昭和の初期頃まで徳利に日本酒を入れて販売していました。
徳利は右手の甲が上になるように持つ!
徳利は胴の中心部分を右手で持ち、右手の甲が上を向くようにします。
左手は徳利の注ぎ口の近いところへ添えて支えるようにします。
手のひらを上に向けて注ぐことは逆手注ぎとなり失礼になってしまうため注意が必要です。
左手の手のひらもなるべく見えないように横向きにすると美しいです。
徳利で日本酒を注ぐ時は、盃やお猪口に注ぎ口が触れないようにします。
盃がいっぱいになるまで注がず、7〜8割くらいまで注ぐのが良いとされています。
盃やお猪口がテーブルに置かれたままの状態で日本酒を注ぐことは置き注ぎとなり好ましくありません。
徳利でお酌する時には受け手の方にひと声かけて注いでくださいね。
注ぎ口とは逆から注ぐのがマナー?
徳利でお酌する時、注ぎ口とは逆から注ぐのがマナーといわれています。
以前にSNSやテレビ番組で取り上げられて話題になりました。
徳利の細くなっている部分は注ぐために作られたかのように見えるので意外ですね。
細い方から注がない方が良いとされる理由は諸説あります。
細い部分を上へ向けた形が仏教で使用される「宝珠」の形へ似ているためだという説や、
細い部分は円の切れている部分なので縁が切れるイメージへと繋がるためといった説などです。
戦国時代には徳利の注ぎ口に毒を盛ることが多かったためともいわれています。
しかし、細くなっている注ぎ口から絶対に注いではいけないという訳ではなく、実際に注ぎ口からお酌しても失礼にはあたらないようです。
徳利メーカーは注ぐ時の使用しやすさを考えて作っているため、あまり気にせずお酒を楽しんで飲むのが良いともいわれています。
注ぎ口は上へ向けて逆の部分から注ぐマナーがあることを踏まえ、場に応じてに対応するのが良さそうですね。
注ぎ終わりは注ぎ口を手前に回して垂れ防止
注ぎ始める時は、徳利を静かに傾けて少量ずつ注ぎ、だんだん多く注いでいきます。
日本酒の筋が細く、太く、細くなるように注いでいくイメージです。
注ぎ終わりは注ぎ口を手前に少し回すと日本酒が垂れにくくなります。
日本酒もこぼれにくいですし所作も美しく見えるため、受け手の方は安心してお酌してもらえます。
注ぎ手としても垂れることなくお酌ができると気持ちが良いですね。
徳利を勢いよく傾けてしまうと、中から日本酒が一気に出てこぼれる可能性が高いので気をつけてくださいね。
徳利のNGマナー4つ!
その他に徳利を扱う際のマナーを4つご紹介します。
①のぞき徳利
徳利の中を覗き込んで日本酒の残量を確認するのは好ましくない行為とされています。陶器などでできている徳利は中が見えないため、外からでは残量が確認できず覗き込んでしまいそうなので注意が必要ですね。
②振り徳利
徳利を振って日本酒の残量を確認することは振り徳利といってマナー違反になります。熱燗だと温度が冷めてしまいますし、動作の見た目もあまり美しいとはいえませんね。
③併せ徳利
複数の徳利に残ってしまった日本酒を1本の徳利へまとめる行為は併せ徳利といって好ましい行為ではありません。異なる徳利に入っている日本酒が混ざってしまうことで、日本酒の風味や温度に影響してしまうためです。
店員の方が後片づけしやすいように親切心からしてしまいそうですが気をつけてくださいね。
④倒し徳利
飲み終わって空になった徳利を横に倒しておくことは倒し徳利といってマナー違反です。倒し徳利をするとテーブルが汚れたり、徳利が転がってしまい割れる危険があります。
飲み終わった目印として徳利を倒して置くことは避けてくださいね。
徳利のマナーを知って日本酒を楽しく飲もう!
日本酒を徳利で注ぐ時は、胴の中心部分を右手で持ち、右手の甲は上を向くようにします。
左手は徳利の注ぎ口の近いところへ添えて支えるようにして両手で持ってくださいね。
盃に7〜8割程度まで注ぎ、注ぎ終わりは注ぎ口を手前に回すと日本酒が垂れにくくなります。
徳利を扱う際、のぞき徳利・振り徳利・併せ徳利・倒し徳利は失礼な行為になってしまうので注意が必要です。
注ぎ口とは逆から注ぐのはマナーといわれていますが、徳利メーカーの心遣いを考慮すると、細くなっている注ぎ口から絶対に注いではいけないという訳ではありませんでした。
徳利のマナーを知っておくと安心できて、日本酒をより美味しく楽しんで飲めそうですね。