日本酒を造るときは、「酒米」というお酒造りに適した専用のお米を使うのが一般的。この記事を読んでいる方の中には「酒米の種類と、それぞれの味の特徴を知りたい」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
酒米には120種類以上の銘柄があり、使用する銘柄ごとに味や風味が変化するのが日本酒の魅力です。
そこで今回は、全国的にポピュラーな酒米の特徴や主な産地を紹介します。地域オリジナルの酒米の銘柄や、酒米と食用米の違いについても解説するので、ぜひ日本酒選びの参考にしてみてください。
日本酒を造る酒米と、食用米の違いとは
今日は日本酒にとって大切な #米の日 …!
— 津南醸造 (@TSUNAN_SAKE) August 18, 2022
銘柄「つなん」シリーズは全量 酒米の津南産五百万石を使わせて頂いています🌾
玄米約1kgほどで一升瓶 1本ができることを考えると、日本酒はお米を贅沢に使わせていただいていますね…。
生産者さん、お米の神様に今日も感謝です🙏🍶✨ pic.twitter.com/1asyrU4ChF
日本酒造りに使用する酒米と、普段食卓に並ぶ食用米との違いは、大きく分けると3つ挙げられます。
- 粒の大きさ
- タンパク質の量
- 醸造のしやすさ
粒の大きさは、食用米よりも酒米の方が大きいのが一般的です。食用米の精米歩合が93〜92%なのに対し、酒米は70%以下のものを使用します。銘柄によっては40%台の米で醸造することも。
表面が大きく削られても粒の形を保てるよう、1粒1粒が大きいのが酒米の特徴です。タンパク質の量は、酒米の方が少ない傾向にあります。タンパク質を分解してできるアミノ酸は日本酒の旨味を出すために必要不可欠ですが、多すぎると苦みや雑味の原因になることも。特に大吟醸酒のような繊細な味が求められる日本酒は、アミノ酸の含有量が1%でも低いことが求められます。
醸造のしやすさも、酒米と食用米の違いの一つ。酒造りには酒米を蒸す「蒸米」の工程があり、米がどれだけの水分を吸収できるかが重要です。
吸水のしやすさ以外にも、酒米は麹の作りやすさや長時間の精米に耐えうる耐久性など、酒造りに適した特性を持っています。
代表的な酒米の種類5選
無窮天穏 R3BY 縁起
— ごめりんこ (@sugarboxere) August 19, 2022
八郷産山田錦60%精米
生酛、山廃、水酛のブレンドのようです
無窮天穏シリーズに新たな酒が。
どういう位置付けの酒なのか気になった。
落ち着いていて静かに軽快に呑める感じで。
静かな空間で久しぶりにじっくり酒と向き合う pic.twitter.com/UmGrJmFPJD
農林水産省の発表によると、日本では現在120種類以上もの酒米が栽培されています。特に生産量が多いのは「山田錦」と「五百万石」で、この2種類だけで平成30年の年間総生産量の6割近くを占めるほどです。
今回は数ある酒米のなかでも、生産量ベスト5の銘柄を紹介します。
酒米 | 山田錦 |
特徴 | 粒が大きい たんぱく質が少ない 吸水性に優れている 麹を作りやすい |
味の特徴 | 風味が良い 透明感のある味わい 辛口でも米の旨味と甘味が残る |
酒米 | 五百万石 |
特徴 | 酒米にしては粒が小さめ 麴菌を吸収しやすい 心白が大きい 辛口淡麗に向いている |
味の特徴 | 味わいはキレがある 後味スッキリ 口当たりが滑らか |
酒米 | 美山錦 |
特徴 | 寒冷地での栽培に適している 米質が硬い 吟醸酒と純米吟醸酒に向いている |
味の特徴 | 果物のような華やかな風味を持つ 後味スッキリ |
酒米 | 雄町 |
特徴 | 粒が大きい 一度も交配を行っていない岡山県の原生種 倒れたり気候の影響を受けたりしやすく、栽培が難しい |
味の特徴 | まろやかな味わい 甘味と旨味がしっかりしている 熟成させると旨味が増す |
酒米 | 秋田酒こまち |
特徴 | 秋田県オリジナルの酒米 高精米に耐えうる耐久性を持つ 蒸すと弾力があり、表面が乾きにくい 麹を作りやすい |
味の特徴 | 上品な甘味がある 風味豊か 雑味が少ない 後味が軽い |
地酒に使われる地域独自の酒米
つきよしの 純米吟醸
— 信州の地酒 (@shinshu_sake) August 19, 2022
・若林醸造株式会社(上田市)
・長野県上田市産山恵錦100%使用 精米歩合55%
・柑橘系のような爽やかな香りと後に残らないキレの良さ。どちらかというと辛口に感じた。暑い季節にさっぱりと美味しくいただける一本。 pic.twitter.com/emAtp0I8ug
地域ごとに造られる「地酒」。
地元産の酒米や湧き水を使用して醸造するものもあり、お取り寄せや旅行中の楽しみの1つとして人気があります。地域ごとに栽培できる酒米の特徴や水の性質が異なるため、ご当地ならではの味わいの変化を楽しめるのが地酒の魅力です。
ここでは地酒造りに使われる地域独自の酒米のうち、寒冷な地域と比較的温暖な地域の銘柄を2つずつ紹介します。
酒米 | 吟風 |
産地 | 北海道 |
特徴 | 醸造しやすい タンパク質の含有量が多め 北海道産の酒米を使った日本酒造りのきっかけとなった銘柄 |
味の違い | コクのある味わい 芳醇な香り |
酒米 | ひだほまれ |
産地 | 岐阜県 |
特徴 | 酒米のなかでも大粒 タンパク質が少ない 寒冷で標高が高い土地でも育ちやすい 純米吟醸酒にも使用できる |
味の違い | 味のバランスが良い 風味豊か 口当たりは軽やか |
酒米 | 八反錦 |
産地 | 広島県 |
特徴 | 酒米のなかでも大粒 育つのが早い早生種 精米時に砕けやすい 精米歩合が高い日本酒に向いている |
味の違い | キレとコクのバランスが良い 青草のような独特の香り 後味サッパリ 口当たり滑らか |
酒米 | 吟の夢 |
産地 | 高知県 |
特徴 | 吸水性に優れている タンパク質含有量が少なめ 高精米に耐えうる耐久性がある |
味の違い | 華やかかつ上品な香り キレのある味わい 雑味が少ない淡麗辛口 |
日本酒を選ぶときは酒米の種類も確認してみよう
天賦播州愛山が旨過ぎて二本買い増し🥰💕
— まっくろくろすけ (@pitchblack_siro) August 19, 2022
ガチうまなので、まだの方は是非🤤✨#日本酒 #天賦 #乾坤一 #荷札酒 #ゆずとろりん pic.twitter.com/RAIRecfAa2
酒米の種類ごとに、味わいの変化を堪能できるのが日本酒の魅力の1つ。
山田錦に五百万石、美山錦など、次はどの酒米を使った日本酒を飲もうかと考えるだけで次の機会が楽しみになります。いつもと少し違う日本酒を飲みたいときは、地域オリジナルの酒米を使った地酒も要チェック。
日本酒を選ぶときは酒米の種類も確認して、自分好みの一杯を見つけてみてください。