洋酒をたしなむ際に飲まれるチェイサー同様、日本酒にも和らぎ水があります。和らぎ水は二日酔いの予防に効果があるだけでなく、日本酒を楽しむためには必要不可欠なものです。
今回は、和らぎ水がなんなのかに始まり、和らぎ水の効果なども解説します。
和らぎ水とは?
和らぎ水とは「やわらぎみず」と読み、日本酒を飲んでいる間に飲む水のことを指します。
洋酒でいうところのチェイサーにあたりますが、チェイサーは本来お酒のあとに飲むアルコールが弱いお酒のことを指すため、厳密にいえば和らぎ水とチェイサーは異なるものとなります。
お酒が出てくるような飲食店では、「和らぎ水を」とオーダーすれば対応してくれるはずです。
和らぎ水がもたらす効果
和らぎ水がもたらす効果は、大きく分けて2つ挙げられます。
まず1つ目は、悪酔いや二日酔いを予防することができるとされています。そもそも、二日酔いとは体内に摂取されたアルコールが分解されてできるアセトアルデヒドという有害物質によって引き起こされる現象です。
そのため、体内に水分が少なくなるとアセトアルデヒドを体外に排出することができず、悪酔いや二日酔いになります。
和らぎ水を適度に飲むことでアルコールとともに水分も摂取することができ、アセトアルデヒドの排出を促すことで二日酔いになる可能性を低減し、アルコールの分解に必要となる水分を確保することができるのです。
2つ目の効果は、日本酒の味わいが混濁することを防ぐ役割があります。
アルコールを飲み続けていると刺激によって舌の感覚が鈍り、人によっては日本酒本来の味や香りを感じられなくなってくる場合があります。
和らぎ水は口の中に残ったアルコール成分を流してくれるとされ、いわば口の中の状態をリセットしてくれる効果が期待できるのです。
これは、飲んでいる日本酒の銘柄を変えた時にも有効です。
飲む日本酒を切り替える段階で和らぎ水を飲むことで、前に飲んでいた日本酒の味と新しく飲み始めた日本酒の味が混濁するのを防ぐこともできるでしょう。
和らぎ水はどれくらいの量が適当か
一般的には、日本酒と同じ量の和らぎ水を飲むと良いとされています。さらに、目安として2〜3合(360~540ml)にたいして、300~500mlの水が適量とされています。
厚生労働省が推進する「健康日本21(第2次)」では適切な飲酒量として、男性であれば、1日およそ1合(180ml)、女性であればこの1/2~2/3程度が適量としています。
このことから、飲む日本酒の量が適量であれば、500mlのペットボトルを1本用意しておくか、居酒屋やバーで飲む場合は中ジョッキ1杯分を頼めば、おおよそ和らぎ水としては十分な量となります。
水以外でも和らぎ水になる
和らぎ水は、水以外でも問題ありません。
緑茶やコーヒー、ソフトドリンク、野菜ジュースやフルーツジュースでも和らぎ水の代用となります。緑茶はコーヒーにはカフェインが含まれているため、アルコールの排泄を促す効果が期待でき、野菜ジュースやフルーツジュースは、糖分・カリウム・ビタミンCといった二日酔いを予防してくれる成分が含まれています。
和らぎ水として、水が最も手軽に用意できるものであることは疑う余地もありませんが、ウイスキーには牛乳、ワインにはコンソメスープというように相性のよいチェイサーが存在しています。
そのため、日本酒と相性の良い和らぎ水を探すのも、日本酒の楽しみ方の1つかもしれません。
和らぎ水にはこだわりの仕込み水を
和らぎ水は、水道水でも十分に効果を発揮してくれます。
しかし、日本酒は酒米や米麹に加え、良質な水を加えて製造されます。そのため、日本酒はおよそ80%が水分で占められているとされ、日本酒の味わいは水の質によって大きく左右されます。
このことから、和らぎ水として日本酒の製造に使われた仕込み水を用いると、より美味しく日本酒を飲むことができるでしょう。
仕込み水は酒蔵のホームページや通販サイトなどで購入することもでき、滋賀県高島市の川島酒造では酒蔵見学にきた人に仕込み水をペットボトルに詰めてお土産にしているようです。
和らぎ水は日本酒を楽しく、美味しくする相棒
和らぎ水には、日本酒を飲むうえでさまざまなメリットがあります。そのため、和らぎ水は日本酒の相棒といっても過言ではないでしょう。
悪酔いや二日酔いを防止してくれるだけでなく、こだわりの仕込み水を取り寄せて和らぎ水自体を贅沢に楽しむこともできます。
ただし、和らぎ水が効果的とはいえ飲みすぎには注意しなければなりません。和らぎ水に頼りすぎないように、適切な量を楽しく飲んだ方が良いでしょう。