日本酒の味を判断する上で、良く言われるのは辛口や甘口という評価。あまり日本酒を飲まない人は日本酒が辛口とはどういうことなのか分からない人も多いでしょう。そこで今回は、日本酒の辛口についての解説やおすすめの飲み方、リーズナブルに手に入る銘柄を紹介します。
日本酒が辛口といわれる理由
日本酒にはいわゆる辛口といわれる銘柄が数多く存在しています。この辛口とは、「辛」という文字からイメージするような唐辛子やわさび、スパイスが持つ辛さとは異なるものです。
ざっくり言ってしまうと日本酒でいう辛さとは、日本酒の成分中における糖分の少なさを指しています。
その日本酒が辛口であるかどうかは、後述する日本酒度と酸度によって判断することができ、アルコール本来のキリリとした口当たりがより感じられる日本酒は辛口と呼ばれています。
なので、サトウキビを主な原材料とした醸造アルコールを添加して作られた吟醸酒や本醸造酒は辛口であると評価されることが多くあるのです。
辛口の日本酒はどこを見て判断する?
その日本酒が辛口であるかどうか、日本酒の名前やラベルに明確に記載がない場合、ラベルを見ることで判別することが可能です。
日本酒のラベルには原材料や製造法のほか、「日本酒度」と「酸度」が記載されています。
日本酒度とは、ピュアな水と比べた時の日本酒そのものの比重のこと。この数値がプラスの値の場合糖分が少なく、大きければ大きいほど辛口の日本酒であるという目安になります。
また、酸度は簡単にいうとその銘柄のキレや味わいを数値として示したもの。その日本酒の酸っぱさの度合いではありません。
ラベルに表記された酸度が高ければ高いほどキレのある口当たり、つまり辛口の日本酒であるということが分かります。
辛口日本酒のおすすめの飲み方
日本酒は飲み方によってさまざまな楽しみ方ができるお酒です。この銘柄はこの飲み方をしなければまずいというルールは存在していません。
ですが、大吟醸や純米大吟醸酒よりは吟醸酒や本醸造酒のように濃厚な香りを持った辛口の日本酒は、いわゆる「燗」を付けると、よりすっきりと美味しく飲めるとされています。
この燗とは日本酒を温めて飲む飲み方であり、温度によって段階的に呼び方が変化していきます。
まず、30度前後は日向燗(ひなたかん)、36度前後を人肌燗、40度前後をぬる燗、45度前後を上燗、50度前後を熱燗、55度前後を飛び切り燗と呼びます。
常温のまま飲んでも十分に楽しめる辛口の日本酒ですが、好みの燗を付けてみるのもおすすめです。
また、変わり種ですが炭酸飲料や炭酸水を混ぜてハイボール風にしてみたり、果実酒で割ったりするのもおすすめの飲み方です。
ハイボール風では辛口日本酒ならではのキレの良さが増し、果実酒割ではフルーティさをより際立たせてくれます。高級な日本酒は混ぜずに飲む、という固定観念を壊してくれるはずです。
手に入れやすいおすすめの辛口日本酒5選
辛口の日本酒は高級なものばかりではありません。ここでは、スーパーや量販店などでも購入しやすい、おすすめの辛口日本酒を5本ピックアップしています。是非、お気に入りの1本を見つけて見てください。
(新潟県) 石本酒造株式会社 越乃寒梅 吟醸 別撰
越乃寒梅は新潟県の石本酒造が誇る有名銘柄の1つ。中でも、吟醸 別撰は軽快かつすっきりとした飲み口が特徴です。その味わいから料理との相性も抜群です。
(兵庫県) 剣菱酒造株式会社 黒松剣菱
剣菱酒造の黒松剣菱は、重厚とも言える米の香りが光る逸品です。他の日本酒とはことなり、器に注ぐとほんのり色づいた見た目も特徴的。ろ過しすぎて米の味を損なわないようにしている酒造のこだわりが見えます。
(富山県) 立山酒造株式会社 特別本醸造立山
ほのかなフルーティさと、まとまりのあるすっきりとしたキレが持ち味の特別本醸造立山です。プレミアムな酒米である山田錦の特等・1等を原材料とし、クセがなく飲みやすいことから食中酒にもおすすめです。
(新潟県) 白瀧酒造株式会社 上善如水 純米吟醸
上善如水 純米吟醸は、その名の通り水のようなやわらかさで飲みやすい1本です。米の旨味だけでなく、仕込みに用いた清らかな水の美味しさすら感じます。こちらはキリっと冷やして飲むのがおすすめです。
(福井県) 黒龍酒造株式会社 黒龍 純吟
原材料となった酒米・五百万石が持つ、米本来の旨味がギュっと詰まった日本酒です。味と香りのバランスが絶妙で、香り高いのに飲みやすいのも特徴。日本酒度も+4.5と辛みも控えめなので、プレゼントにもぴったりです。
まとめ
一時は辛口の日本酒ブームが巻き起こっていましたが、甘口の日本酒だからといってまずい日本酒ではありません。さまざまなメーカーや酒造から数多く生み出されている日本酒は、お気に入りの銘柄を探すのも楽しみ方の1つ。これまで辛口の日本酒を飲んだことがない人も、リーズナブルな銘柄からチャレンジしてみてはいかがでしょうか。