【深掘り解説】どぶろく・にごり酒・マッコリの違いは製造方法と原料

にごり酒

 

一見そっくりなどぶろくとにごり酒とマッコリですが、それぞれの違いをご存じですか?
この記事では、3つのお酒の違いについて知りたい方へ、造りの違いや特徴を深掘り解説します。
それぞれの美味しい飲み方も紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。

どぶろくとにごり酒とマッコリの違い

どぶろく、にごり酒、マッコリの特徴を踏まえた上で、それぞれの違いを比較していきましょう。

どぶろくとは?

どぶろく

どぶろく

(提供元:@teqmae さん)

日本酒と同じ米・米麹・水の原料を発酵させた後、もろみを濾さずに作られたものです。日本酒の原型ともいえます。
起源は稲作の伝来と同時期の弥生時代とされるほど歴史は古く、神様に奉納される「御神酒(おみき)」の一種でもありました。
現在では「どぶろく特区」制度が設けられており、酒造以外で伝統的などぶろく造りを行っているのは、許可された地区のみです。
岐阜県高山市の飛騨一宮水無神社をはじめ「どぶろく特区」の中には「どぶろく祭」を開催している地区もあります。
神様にどぶろくをお供えしたり、参拝客にどぶろくを振る舞ったりと、貴重などぶろくを手軽に堪能できる特別なイベントです。

にごり酒とは?

にごり酒

宗玄 にごり酒

(提供元:@umetarouu1112 さん)

にごり酒とは、その名の通り「濁った日本酒」です。
造り方は途中までは一般的な日本酒と同様で、原料の米・米麹・水を発酵させた後もろみを酒袋に詰め絞ります。
異なるのは、通常は目の細かい酒袋を使用し、にごり酒を作る際には目の粗いものを使うところです。
目の粗い酒袋で絞ることによって、「澱(おり)」と呼ばれる細かい米粒や麹などの固体が残ることで、白濁した「にごり酒」になります。
発酵食品のもろみを多く含むため「育つお酒」「生きたお酒」とも言われており、時間の経過とともに色や風味が変わるのが特徴。
ビタミンやたんぱく質などの栄養素も満点で、美容や健康への効果も期待できることから、女性や日本酒初心者に人気のお酒です。

マッコリとは?

マッコリ

JINRO マッコリ

(提供元:@teteko1230nuna1 さん)

古くから親しまれている、韓国の大衆酒です。
韓国語が意味する「粗雑に」の「マッ」と「濾す」の「コルダ」を合わせた言葉で、「粗く濾したお酒」の意です。
造り方は、とてもシンプル。原材料の米や小麦粉、ジャガイモなどを蒸してから乾燥させます。その後麹と水を入れて発酵させ、固形物を簡単につぶして濾します。
マッコリの歴史は古く、原型となるお酒は高麗時代(918~1392年)に造られていたのだとか。農家では、農作業の合間に水代わりに飲まれていたそうです。
結婚など人生の節目を祝う際にも、各家庭のマッコリで客人をもてなしたことから、「農酒」や「家醸酒」とも言われています。 

白濁して非常に見た目が似ている3種類のお酒ですが、詳しく見てみると、それぞれに原材料や工程が異なることが分かりますね。

どぶろくとにごり酒とマッコリの種類と飲み方の違いとは?

どぶろくとにごり酒とマッコリの種類と、おすすめの飲み方について解説します。
違いを知った上で、自分好みの飲み方を見つけてください。

どぶろくの種類

どぶろくは火入れをするかしないかによって、以下の2つに大別できます。

1.火入れなしの「生どぶろく」

加熱処理を行わずに酵母が活動している状態のまま瓶詰めした「生どぶろく」は、発酵により炭酸ガスが発生するため、シュワシュワ酸を感じられます。生らしく、フレッシュな味わいが特徴です。
瓶の中で発酵が進んでいきますので、時間の経過とともに味わいの変化も楽しめます。

2.火入れありの「火入れどぶろく」

「火入れどぶろく」は、加熱処理で発酵が止まってから、瓶に詰めたどぶろくです。
まろやかな味わいとやわらかなのど越しで飲みやすく、初心者の方にもおすすめです。
発酵が進まないため味が安定していて、長期保存をしやすいことから、ゆっくり時間をかけて飲みたい方向けと言えます。

どぶろくのおすすめの飲み方 

どぶろく

どぶろく(火入れ)

(提供元:@carrotcake_love さん)

ろ過をしないどぶろくは、お米の甘さやフルーティーな味わいが特徴です。どぶろくだからこそのおすすめの飲み方を2つご紹介します。

1.混ぜて飲む

瓶詰めのどぶろくは、下にもろみが沈殿し、上のさらっとした部分と下のとろみがある部分とに分かれています。
瓶を開ける前に全体をよく混ぜることで濃さが均一になり、クリーミーで飲みやすくなりますよ。

2.冷やして飲む

どぶろくは常温でも飲めますが、温度が高くなると酸味が強くなるため、冷やして飲むのがおすすめ。
甘みと酸味が絶妙のバランスになるため、飲みやすくなる5度以下に冷やして飲むのが理想です。

にごり酒の種類

にごり酒は、大きく分けると以下の3つに大別できます。

1.澱(おり)酒

飛良泉 澱酒

飛良泉 純米大吟醸 澱さけ

(提供元:@momona_jiyu_dom さん)

「澱(おり)酒」とは、沈殿した「おり」が多く含まれていることから、とろみのあるにごり酒のこと。口に含むとお米の旨みや甘みが口中に広がります。
なめらかな口当たりで飲みやすく、女性にも人気の高いお酒です。

2.うすにごり(ささにごり)

うすにごり

薄(うす)や細(ささ)という言葉の如く、にごりの少ないお酒のことを「うすにごり」や「ささにごり」と呼んでいます。
濃厚な澱酒に比べて、クセが少なくさらりと飲めるため、日本酒が得意でない方にも最適です。

3.活性にごり

二兎 活性にごり

二兎 山田錦六十五 純米活性にごり生原酒

(提供元:@hirukara_arutyu さん)

 

「活性にごり」は、粗めに濾した後に、火入れしないままの状態で瓶詰したお酒です。
生きた酵母の効果により、瓶の中でも発酵が進むため、発泡性が特徴的。

にごり酒のおすすめの飲み方

「どっしりと濃厚」「シュワっと微炭酸」「サラッと軽い」など、様々な口当たりがあるにごり酒。

そんなにごり酒ならではのおすすめの飲み方2選をご紹介します。 

1.上澄みと澱を別々に味わう

にごり酒の楽しみの一つが、「澱(おり)」と上澄みを別々に味わえることです。
にごり酒を器に注ぎ置いておくと、澱が沈殿してきます。透明な上澄みを味わった後に、とろりとした澱を味わってみてください。
上澄みと澱を別々に飲むことで、より風味の違いが際立ちます。

2.上澄みと澱を混ぜ合わせて味わう

瓶を軽く振って上澄みと澱とを混ぜ合わせてから飲むのが、一般的な飲み方です。
スッキリとした上澄みと、とろり濃厚な澱が混ざることで、飲みやすくなります。

マッコリの種類

マッコリの種類は、主に以下の3種類です。

1.生マッコリ

火入れをせずに瓶に詰めた「生マッコリ」。瓶の中でも発酵が進むため、微炭酸と乳酸ならではの酸味が特徴です。
ただ、加熱処理をしていない分、要冷蔵で賞味期限も1週間~1ヶ月ほどと短めですので、ご注意を。

2.火入れマッコリ

「火入れマッコリ」は、火入れをすることで発酵を止めたマッコリです。ほんのりとした甘みとほどよい酸味が特徴。
生マッコリと比べると賞味期限が長く、日本で広く流通している一般的なマッコリです。

3.和マッコリ

韓国発祥のマッコリですが、近年日本で製造した「和マッコリ」も増えています。
国内産のお米や水を使っているため、本場のマッコリよりも日本人好みの味だと評判。初めてマッコリを飲む方にもってこいのお酒です。

マッコリのおすすめの飲み方

マッコリは、乳酸飲料を思わせるさわやかな風味と、お米やトウモロコシなど原料のほのかな甘みが特徴です。そんなマッコリのおすすめの飲み方を2つご紹介します。

1.ストレート

マッコリの一般的な飲み方は、ストレートです。
まずは、瓶の中の沈殿物をよく混ぜた後に器に注いでから飲んでみましょう。
優しい甘さやまろやかな酸味、微炭酸など、風味とコクをダイレクトに味わえます。初心者がマッコリ本来の味を知るのにも最適です。

2.ロック

ストレートで飲むことに抵抗がある方は、ロックがおすすめです。
グラスに氷をたっぷり入れてからマッコリを注いで飲むことで、温度が下がりよりすっきりと味わえます。
氷が溶けていくことによる味わいの変化も魅力です。

どぶろくとにごり酒とマッコリの違いを知ってお酒を美味しく飲もう 

 見た目は非常に似ているどぶろくとにごり酒とマッコリ。

特徴や飲み方などを詳しく見ていくと、特徴が異なり、お酒の奥深さを感じます。
どぶろくやにごり酒など、色々なお酒についての知識が増えたり、味の違いが分かったりすると、もっと様々なお酒を味わってみたくなりませんか?
「角打ち東京」には、一合から楽しめる多彩な「ぽち酒」がそろっています。今まで知らなかった自分好みの日本酒と出合えるかもしれません。ぜひご覧ください。

ぽち酒を飲む