海外でも日本酒は大人気!その理由や背景とは?

近年、海外での日本酒人気が高まっています。その背景にはどのような理由があるのでしょうか。

今回は、海外で日本酒が人気となっている理由や、外国人に好まれる日本酒の銘柄について紹介します。


確実に高まっている海外での日本酒需要

海外での日本酒人気は、確実に高まっています。そのことを端的に示しているのが、日本酒の海外への輸出量と輸出金額でしょう。

日本酒造組合中央会によれば、2021年時点で日本酒の海外への輸出金額は12年連続で過去最高を記録しており、その輸出総額は401.78億円に達したとしています。

輸出量については32,053キロリットルであり、前年比で147.3%を記録していることから、大幅に伸びたことがうかがえます。

国内での出荷量が年々減少している中、この数値は圧倒的であるといって過言ではないでしょう。

国別で見てみると、金額で最も大きいのは中国、数量ではアメリカが1位という結果になっており、数量/金額で伸び率が高いのはフランスとなっています。

輸出価格の上昇に関しては、2010年と比較すると約2倍ほど上昇していることから、安価な日本酒よりは高価格帯の日本酒が好まれる傾向になったこと。

さらに、ECサイトや海外通販サイトの発展によって、日本国内でなければ入手が難しい日本酒も入手できるようになったという見方ができます。


世界無形文化遺産の登録とオリンピックの開催

日本酒の海外人気が高まった要因として、2013年に日本食がユネスコの世界無形文化遺産に登録された背景があるとされています。

地酒検証研究会や日本酒サービス研究会が合同となって、Googlフォームを利用したアンケート調査によると、外国人が初めて日本酒を飲んだきっかけとなったのは「日本食に関心があって」という回答が全体の46%を占めているのです。

さらに、「日本文化に関心があって」という回答が37%と次いで多く、日本食を含めた日本文化への興味が日本酒への興味と直接結びついていることは明らかでしょう。

最近では、YoutubeやSNSなどに外国人に日本酒を飲んでもらってリアクションを見る「海外の反応」といった動画も数多く投稿されており、日本酒の美味しさに驚く外国人の姿が発信されています。


外国人に好まれる日本酒タイプとは

日本酒は、その特徴によって4タイプに分けられます。

薫酒:フルーティな香りと軽い口当たり

爽酒:キレがありすっきりとした飲み口

醇酒:米本来の芳醇な旨味が感じられる

熟酒:熟成させた褐色の色味とコク深い味わい

これらを基に、外国人が好む日本酒のタイプを調べた結果、

薫酒を好む外国人:28%

爽酒を好む外国人:20%

醇酒を好む外国人:24%

熟酒を好む外国人:3%

このことから、日本酒を飲みなれていない外国人に日本酒を最初にすすめる際は、薫酒・醇酒・爽酒のいずれかを選んだ方が良さそうです。

また、この調査では地域によって好きな日本酒のタイプに違いがあるかどうかも分析されました。

薫酒を好む人が多いのが香港、爽酒を好む人が多いのが台湾、醇酒を好む人が多いのが欧州・中国・東南アジア・北米であることがわかっています。

興味深い調査ですね。

 

海外から高い評価を受けた日本酒

近年では、海外の酒類コンペティションに日本酒部門が「SAKE部門」として設立され、受賞した日本酒が大きな注目を浴びることも珍しくありません。

中でも、1984年からイギリス・ロンドンで毎年開催されているインターナショナルワインチャレンジは、世界最大規模の酒類コンペティションであり、お酒のオリンピックとも呼ばれる歴史と伝統、名誉ある品評会です。

ここでは、昨年開催されたインターナショナルワインチャレンジ2021 SAKE部門の結果をもとに、外国人に好まれる日本酒を紹介します。


旭酒造『獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分』


日本国内でも絶大な知名度を誇る旭酒造の獺祭ですが、それは海外でも同じです。

『獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分』は、純米大吟醸部門でゴールドを受賞しました。

磨き二割三分の名前の通り、酒造好適米である山田錦を23%まで精米し、メーカー自ら最高の純米大吟醸に挑戦したと謳っている1本です。


出羽桜酒造『出羽桜 大吟醸』


インターナショナルワインチャレンジ2021では、出羽桜ブランドは古酒部門と、『出羽桜 大吟醸』で大吟醸酒部門でもゴールドを受賞し2冠を達成しました。

吟醸酒といえば出羽桜、と言われるほど国内で浸透している銘柄ですが、その味わいは海外でも高く評価されています。

キレのある飲み口と華やかな香りが、非常にバランスよくまとまった日本酒です。


後藤酒造店『辯天21 純米大吟醸原酒』


山形県の後藤酒造店が手がける『辯天21 純米大吟醸原酒』は、古酒部門のゴールドメダルに選出された日本酒です。

山形県が誇る酒造好適米である出羽燦々を、5日間かけて21%まで精米。

2014年のヴィンテージ品を長期低温熟成させることで完成した逸品です。


南部美人『南部美人 あわさけスパークリング 北斎』


岩手県 南部美人の手がける『南部美人 あわさけスパークリング 北斎』は、スパークリング部門のゴールドメダルに輝いたスパークリング日本酒です。

岩手県産オリジナル酒造好適米「結の香」を使用し、豊かな吟醸香とスパークリングならではの爽やかさに加え、米の旨味を感じられるバランスの良さが持ち味です。


松井酒造店『松の寿 山廃純米 五百万石』


純米酒部門でゴールドメダルを受賞したのが、栃木県松井酒造店の『松の寿 山廃純米 五百万石』です。

山廃ならではの強烈なお米のインパクトではなく、じわりと広がる優しい旨味が特徴的な一本。

冷やせば五百万石が持つキレに加えて山廃の僅かな酸味がアクセントに。

逆に燗を付ければ、お米の旨味とコクが香りと共に立ち上る、飲めば飲むほどお腹が空いてくるような日本酒です。


日本酒は日本人だけのものではない

世界的な日本酒人気が高まっている現在、日本酒はすでに日本人だけのものではなくなっています。

日本の酒蔵が海外へ進出し、世界各地で地元の日本酒(SAKE)メーカーも誕生しています。

日本酒は日本の文化の1つです。日本酒が海外に浸透するのは非常に喜ばしいこと。

だからこそ、日本ならではの日本酒の楽しみ方や銘柄を発信していくことが、日本酒の存在を世界にもっとアピールすることに繋がるのではないでしょうか。

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