先日職場で、ちょっと気難しい最年長の古参スタッフさんを
「おとうさん!」
と呼んでしまいました…。
その場がシーンと冷え込むのを感じました。…さむっ。
今夜は燗酒だな。そう心に決めましたね。
小さな頃から「落ち込んでる時は温かいものを食べろ」と言われて育ちました。胃に入れるものの温度は、心に直結すると思っています。まさに「心も体もあたためる」ってやつです。
そこで今回は、疲れた心をも癒す、燗酒の魅力について語りたいと思います!
- 燗酒の魅力って何?
- 燗酒に向いている日本酒ってどんなもの?
- どうやって温めるのがおすすめ?
こんな疑問にお答えしていきながら、私が日頃から燗で飲んでいるおすすめの日本酒も一部ご紹介したいと思います。
燗酒の魅力とは?
おちょこを口を寄せると、ふわぁんとした温かい湯気と香り。
口に含めば豊かな米の旨味、甘み、酸味、苦みなど、複雑な味わいが押し寄せます。
鼻に抜けていくアルコールの香りもまろやかで心地よく…
まったりとした余韻が残るものから、スッといなくなるキレのあるものも。
のどを通り、温かさが胃に広がるその瞬間。出るのはただただ一言。
「癒される…」
目を見開くようなおいしさではなく、思わず目を閉じてうつむいてしまうような旨さ。
あったかいお風呂に浸かった時に出る声と似ているかもしれません。
仕事に忙殺され、疲れが溜まっていませんか?
育児に奔走し、ぐったりしていませんか?
温めることで、キュッと閉じていたつぼみが花開くように、香りや旨味を豊かに感じられるようになります。
難しいことは抜きにして、癒される。日頃の緊張を優しく包んでほどいてくれる、それが燗酒の魅力です。
燗酒に向いている日本酒とはどんなタイプ?
とは言え、どんな日本酒でも温めればおいしくなるのか、というと、そうではありません。
燗酒にして美味しいものと、冷酒が合っているものがあります。
- 燗酒に向くタイプ→香りが穏やかな純米酒
- 燗酒に向かないタイプ→香りがフルーティーな吟醸酒・大吟醸
香りがフルーティーなタイプは、温めることで華やかな香りが飛んでしまいます。
ですから、香りメイン、香りを楽しむ吟醸や大吟醸は、燗にはあまり向いていません。
燗にして美味しくなるのは、香りよりも米の旨味や酸が感じられる純米酒です。
とは言え、吟醸でも温めておいしいものがあったりするのが日本酒の懐の深さ!
「この日本酒は燗にしてどうかな?」と思ったら、迷わず温めよ、です。
私の経験上、吟醸系はぬる燗がイイですヨ。
酸がポイント!
日本酒における「酸」は、燗にしておいしいかどうかの重要なワードです。
酸というと「酸っぱい」というイメージかもしれませんが、日本酒の場合には「濃厚」という方が合っています。
酸が多いほど、「濃厚」で「芳醇」な味になります。逆に、酸が少ないものは「淡麗」に仕上がります。
すごくわかりやすく言うとこんな感じです。
酸が多い:「芳醇」=まったり・味が複雑
酸が少ない:「淡麗」=スッキリ・シンプル
燗をつけるなら、どっしりと濃厚な日本酒が特におすすめです。
「生酛づくり」や「山廃づくり」のものは、乳酸が豊富でキレもあり、燗酒に向いているお酒の代表選手。ぜひ試していただきたいです。
燗をつけてみよう!燗のつけ方
必要なもの
- 徳利
- おちょこ
燗酒に必要なものはこれだけ!100均で売ってます!
自宅でできる簡単なお燗のつけ方
ご自宅のレンジに「牛乳」や「酒」というボタンはありませんか?
あれば、こちらで温めましょう。大体、60度になるように設定されているそうです。
ぬる燗にしたいなら、時間を短めに、早めに引き上げてくださいね。
手軽にできますから、ぜひ今晩から試してみてください!
燗酒に向いている日本酒の銘柄
私が好きな、燗にして美味しい日本酒をご紹介します。
- 悦凱陣 純米酒(香川県)
- 大七 生酛(福島県)
- 日置櫻 純米酒(鳥取県)
燗にすることでドラマティックに変化する味の膨らみを、ぜひ味わってみてください。
燗酒のススメ。染み渡る旨さに癒されよう
難しいことは置いておいて、燗酒の魅力は「癒される」ところです。
燗酒に向いているのは、どっしりとした米の旨味を感じられる、香りの穏やかな純米酒。
酸が多い、生酛や山廃は特におすすめです。
また、温度を徐々に上げていくことで、その日本酒が一番おいしい「開く」温度帯を見つけるのが燗酒の楽しみ方の真骨頂!実験のようで楽しいので、ぜひ試してみてくださいね。
あなたも今晩から、燗酒の魅力に包まれ、癒されてください!